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ナミニクバエの成虫と大阪の夜景

  • 2024/04/09

Summary

都市に生息する昆虫は,日没後の明るさによって季節の読み取りが乱されていることが考えられる。私たちは,ナミニクバエを対象とし,室内および野外での飼育実験を用いて都市の明るさが昆虫の季節適応にもたらす影響を検証した。

われわれの社会活動に伴う人工照明のため,都市は日没後も明るい。昆虫の多くは秋の短い日長(1日のなかの明るい時間の長さ)を読み取ることで冬の到来を知り,発育を停止して耐性を高めた生理状態である「休眠」に入ることで厳しい冬を乗り切る。都市に生息する昆虫は,日没後の明るさによって季節の読み取りが乱されていることが考えられるが,研究例は少ない。私たちは,ナミニクバエ(Sarcophaga similis)を対象とし,室内および野外での飼育実験を用いて都市の明るさが昆虫の季節適応にもたらす影響を検証した(本号総説参照)。写真は,令和4年1月 13日の 18時 12分(日の入りの約1時間後)に,あべのハルカス(大阪市阿倍野区)から撮影した夜景である(撮影・後藤慎介)。ネオンサインや街灯,建物から漏れる光によって日没後も明るい。

ナミニクバエの成虫と大阪の夜景

摂南大学 理工学部生命科学科 向 井   歩

 

(出典: 学会誌「比較生理生化学」Vol.39 No.1 表紙より)

 

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